子どもの絵は
じつは こういうこともあります。
三島由紀夫 全集より
これは文章の話ですが、絵にも十分にあてはまります。
子どもの文章は表現の奇抜さと感覚のどきりとするような生々しさと、一種のデフォーメーションの面白さによって人の注意をひきます。
子どもながらの文章で人に喜ばれているのは山下清氏の文章でありませう。
しかし それはあくまでも文章として片端のものであって、子どもの唄やつづり方における奇抜さは、年と共にうすれ、山下氏のような一種病人でない限りその魅力はうすれます。
そうして大人の常識に侵されてもなほかつ、内部から子どものように新鮮な感覚がひらめくものが本当の文章の面白さなのです。
子どもは 大人よりもさらに「事物の世界」に親しみを持っています
手にしたオモチャや 庭の木や そこらにころがっている石や 昆虫や動物が、子どもとの間に大人よりももっと深い親戚のような関係を持っています。
その発見がわれわれをおどろかすのですが、われわれはこういう関係を見失っているからです。
そうして この子どもの世界を大人の目からながめた ジャンコクトーの「おそるべき子どもたち」や谷崎氏の「小さな王国」によってわれわれはふたたび子どものかいた文章よりも大人の魂が子どもの世界にふれた文章の方がずっと貴重なのであります。
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ちょっと、私の伝えたいことと似ています。
ありがとう。資料提供 U介さん。