11月
茶人の正月です。
5月の新茶を壺に詰め熟成させたお茶を楽しむ季節です。昨年は六世家元逝去の為壺飾りは辞めましたが、今年は七世家元襲名と云う新たな年。一年ぶりに大きな青磁の茶壺を飾りました。いよいよお茶の真味に出合える時期となり、皆さんにとっては一段と季の引き締まる事と思います。
そこでそんな皆さんにご紹介したい文章があります。
陰から陽への変化、亥から子への変化、冬至の前後、地球や月の公転運動の一瞬一瞬、ある生き物が死に新たな生き物が生まれることでも、一人の人が精神的に生まれ変わりを経験することでもよい、そこには統一的な尺度で測ることができない微妙な誤差やゆらぎが生じている。伝統文化はこのゆらぎを察知し実に多様な方法で表現しようとしてきた。自然と文化には統一尺度ではとらえきれない何かが残る。この事実を認めることによってはじめて近づくことのできる自然と文化の様相が存在している。
きわめて微妙な誤差にかすかな誤差にこころを開いておくこと、統一時間、統一空間を使用しながらもそこから離れる自由な精神を持ち、立ち現れている世界の豊かさ複雑さの前に謙虚になること、統一時間との違いこそが世界をより深く知り生きる手がかりなると悟り世界に穏やかに向き合うこと、これが生きとし生けるものの時空と統一時間を両立させる前提ではないだろうか。そこから調和を求める文化と文明が成立してくるのではないか。
ご参考までに。
今橋治楽
京都伏見アトリエ遊お煎茶教室
教室へのお問い合わせはこちらです。